今回はじゃ、いつもと少し話を変えてみる。Windows 95についておるユーザー補助という障害者への拡張機能があるのじゃが、これの機能が特定のメーカーの機種で、ある状態でパソコンを起動すると、その機能が働かなくなることが判明した。これについて述べよう。
まずはメーカーの名前からいおう。NECである。日本で一番パソコンを多く売っている会社である。機種はPC−98××シリーズ、××のところは01でも21でも同じだ、とメーカーも言っておる。つまりメーカーも知っておるのじゃ!
症状というか、使えなくなってしまう機能というのは「固定キー」という機能で、ワープロを少しでもさわったことのある方ならおわかりだろうが、キーボードには同時に押さえないと打てない文字や記号がある。両の手が使えればさして問題もないのだが、片手であったり、吾輩のように*自助具を使って打つものは、同時に押さえることが出来ない。これを回避するためにWindows
95にユーザー補助という中に固定キーという機能がついた。ところが、NECのパソコンの「CAPS」または「」のランプを点けたままWindows
95を起動すると、先ほどの機能がいうことをきいてくれなくなる。
NECに問い合わせたところ、マイクロソフトの基本プログラムなので著作権などの問題もあって、勝手に注意書きがマニュアルに書けないそうである。ユーザー補助に関する情報は、マイクロソフトのホームページ(
http://www.microsoft.com/japan/support/tdoc/doc/win95/win95_usage.htm)に出ておる。
だがしかしである。コンピュータ関連の書籍、雑誌、パソコンに付属してくるマニュアルの殆どに、この拡張機能に関する詳しい記述がなされていない。1ページほどに機能の概要を伝えるほどしか書かれている程度である。Windows
95の画面に表示されるヘルプの内容も同様である。これはすなわち、我々障害者をユーザーと見ていないことではないだろうか? 読者諸氏は如何思われる。
回避方法は、
これを調べていて、マイクロソフトの米国のサポート体制と日本のそれとの違いが明らかになった。ADA法というものが大きな力を発揮していることと、障害を持ったものがいい加減にすまさない違いであろう。
この現象、マイクロソフトに言わせれば「基本プログラムの仕様」であって問題はないと主張しているようである。NECのパソコンが電源を切ったときにCAPS、のランプが消えないことにも問題があるように吾輩は思う。これも仕様だ、と言われれば文句の言いようがないのだが、何かしっくりこないのである。
世の中には、おかしなことや、納得いかないこと、摩訶不思議なことが多すぎる。だが、ままならなかったりする事があるほうが面白いのかも知れぬ。
何か問いたいことがあれば、遠慮なく言ってほしい。答えられる範囲で応えるつもりである。では次回まで、さらばじゃ。
*【じじょぐ】自助具
-
身障者などが日常生活の場面で、必要に応じて使う器具。
ワープロを口で打つためのマウススティックや、食事の時に
スプーンを持つためのスプーンフォルダーなどがある。
編集後記
朝夕はしのぎやすくなったものの、日中は真夏のような暑さです。が、耳を澄ますと初秋を告げるようにツクツクホウシが遠くで鳴いているのが聞こえます。と、ここまで書いて他のことをしていたら涼しくなり、コオロギなどの秋の虫たちが鳴いているのを耳にしました◆6月のはじめにこの新聞が岡山の地元紙に取り上げられました。久々の取材でしたが、なれのせいか緊張することも殆どありませんでした。今度は、こちらから取材を申し込もうと思ったりしています◆3月の下旬からここの中でパソコンを買われる方が相次ぎ、これを書いている9月7日現在で私のも含めて個人所有が7台になっています。私の父親と同じくらいの方が最年長で、悪戦苦闘しながら楽しそうに使っておられます。時々わからないことがあると、呼び出されては教えているのですが、皆さん私よりも年上なので、ちょっと苦労します◆インターネットのメールアドレスが7月下旬より変わりました。新しいアドレスは1ページ目の右上に書いてあります◆それでは次号まで、ごきげんよう!
|